ブログ更新が滞っておりまして、誠に申し訳ありません。
引き続き、思ったことや出来事など感じることなど不定期ではありますが、綴らせていただきます。
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「解析」

 施策策定や経営革新計画策定や、財務コンサル等を請け負う中でデータ分析等を細かに行う機会があります。先般、セミナー講師をした折に、「価値ある分析結果」にするためには?という題目で講義をしました。今回はその時にお話させていた内容の一部を少し綴らせていただきます。

 情勢の流れが激しいグローバル経済の中では、行政や企業自身がデータ分析を行い、どうそれを活用し活かしていけるかで、運営スタイルは変わってきます。大企業も中小企業、個人事業も同じです。

 多くの企業や行政施策にも携わらさせていただいてますが、分析が上手く機能しない時の問題の多くは、データに問題があることが一番で、かつ分析結果を活かしきれていないということがほとんどです。データ自体に欠陥があるため、価値ある分析結果にならないというものです。

 ですので、データ分析の成果を、日常の運用レベルまでに落とし込めるかどうかが大事です。分析結果に優先順位をつけて現場が使いこなせるかたちにし、運用に耐えられるものを提示しなければなりません。
シンクタンクやコンサルティング会社でも、対応はマチマチですが、私は企業分析をする場合は、企業様と一緒に全体像を描き分析することで成功に近づけると思いますので、そうしています。多くは最初から分析方法を決め付けてから取り掛かるので、結果が限定されてしまうので、それを避けるためです。

 地域科学や統計学でも使われますが、予測と洞察を切り分けて分析する必要があります。予測を最終地点にしているベイズ方法と、失敗が許されない場合の頻度論方式の活用区別をしていくことが、何より大事です。

 また、私はよく専門家の会議や講義でも、価値ある分析結果を出すためには、「仮説を立てる」方針よりも、リサーチデザイン方法が大事だということを伝えています。
このリサーチデザイン方法ですが、日本の大学ではあまり教えられていません。日本ではあくまでも、仮説を立ててそれに対する実データに対して、どう展開するかを分析する方針を立てる。ことに重きを置いていますので、「データ分析」のための知識は別というものです。

 リサーチデザイン方法のデータ分析は複雑化していますが、仮説だけを基に行動するよりも大きな成果が得られるものだと感じています。どう課題を設定し、どのようにデータ収集をするか、どの手法をとるか、どう結果や研究分野を進歩させるべきか。という考えを分析しますので、仮説だけを真実とする必要はないのです。

 仮説を否定しているわけではなく、仮説からデータ分析をすると、白か黒か、解析不能かというものしか答えはでません。
「この問題は多分こうだろうから、もしくは、こういう情勢だから、こうだろう」という仮説を立てた結果、そのとおりなら「やっぱりね」となり、違う結果なら「残念」とか「なぜなんだ」ということで終わります。これだけでは、価値ある分析結果にはならないというのが考えです。

 よく最新のコンピュータ(マシンパワー等活用)等を使えば、限りなく分析結果は正しいという研究者もいますが、数学的なモノはそうかもしれませんが、企業や行政的にはそれは双方の希望や状況までも汲み取ってはくれませんので、私はお薦めしません。
 
 量的研究のように、何かを明らかにしようとするようなところは、値を最大化するか、最小化するかの因果関係を利用可能なデータの中から最大限明らかにすることです。これは、データ分析を行うところの基本です。

 故に価値ある分析結果を求めるためには、政策科学でも使いますが、手法としては、(1)成果指標(アウトカム)が何であるかを定め、(2)成果指標を解析単位に分析し(3)説明変数をする(機械的にできる限り解析単位の特徴を分析)を行うことがまず一歩ではないでしょうか。

 成果指標が何かを定めることは、仮説や感覚に頼らずにするために不可欠です。
数知れない情報がある現代社会だからこそ、その情報やデータをどのように扱っていいかを学ばなければならない時代になっていると思います。仮説を立ててから分析すると莫大な情報の一部しかみえないことになります。

 これは、企業運営はしかり、行政に関しては国家指針にも繋がる大きな分野です。
地域科学や統計学、情報リテラシーは実は身近であります。だからこそ、こういった手法を学び、伝え活かし実践していくことが、価値ある分析結果になるものだと思います。

 こういった内容を主に講義させていただき、その一部を今回綴らせていただきました。

                                     若狹 清史