須坂市で村山早生牛蒡を使用したごぼう茶が大人気です。
遊休農地の活用や既得組織に頼らず自立する方法で、かつ温故知新に学ぶことでビジネスは大きく動きます。
行政任せでなく、若者から立ち上がる姿勢をできる地域こそ、活性化があると思います。
ぜひ、皆さんもごぼう茶お飲みください。

「歳入管理」

地域政策を請け負う中で、財政分野は非常に大事になってきます。
いくら施策がすばらしくても財源・会計が明瞭でなければ先に進めないからです。
国との打ち合わせでも国に財源が無いので、優先事項(団体や族議員)に予算措置をする現実がある。とのこと。しかし、財源が本当にないのかの事務的論議はほぼされていない現実があります。

ここにきて消費税増税の決断。
先般、都内で会計士、官僚OB、大学教授と一緒にパネルディスカッションに参加して発言したことや感じたことを今回のブログにしたいと思います。

消費税アップが決断されました。といっても、増税への道筋がきちんと出来上がっている中での決断のようです。経済対策に盛り込むものとしては復興特別法人税の前倒し廃止もあり、その対策として一年前倒しにし(これによる財源失効は9000億円)、この分を補正予算で一般会計から復興特別会計に切り替えて復興予算を維持するということのようです。

今回の道筋を考えれば、財務官僚OBの方は、財源を消費税に頼ることを前提の路線だと指摘されていました。

デフレ脱却、経済、財政対策をし、景気対策にも結びつけるということは、「正しい」ことだ。と認識をしてもらうことが前提に消費税論議はあります。

そもそも日本はそこまで財政が圧迫しているのかどうかの検証を多方面からもするべきです。とかく、「お金が無い」と国が言えば、地方も「お金が無い」と理解し、交付金が少なくても仕方がない、もらえるだけ嬉しいとヒモ付きをされている国の言いなりの現状もあります。本来地方は「自治」の集合体であることを忘れてしまってはいけません。

話は戻りますが、国の財務諸表であるバランスシートをみれば、国の総資産額が明らかです。実際に国には借金が多く、財政再建が必要なんだ。と訴えている財務省にとっては耳が痛い情報のよう、公表は10年も遅れた現実もあるようです。

このバランスシートですが、国際機関(IMF等)での常識として、国家負債は資産を差し引いてから見る。ことになっています。この見方をすれば、負債額1088兆円に対して、日本の資産総額は629兆円になっています。差し引きすれば、459兆円の債務ということになります。もっと詳細に分析していけば、その629兆円の資産の内訳は、現・預金が18兆円、貸付金143兆円、運用委託金111兆円、有価証券98兆円、出資金59兆円の428兆円が金融資産になります。OECDの政府金融資産対GDP比のデータをみても、これほどの金融資産は先進国の中でも郡を抜いています。
この143兆円の貸付金と59兆円の出資金は特殊法人への資金提供になっています。天下りはやめよう。と謳い問題化しながらも手付かずになっています。

つまり、日本は借金ももちろん多く存在しているが、有数の資産保持国家でもあるということです。

増税論議だけに目をやっていれば、こういった部分は後回しにできると考えた官僚の思惑に政治的要因とのタイミングが重なっている現状があると思います。

しかし、これまでデフレ経済の中で、民間企業はリストラをせざるを得えず、資産と負債の両面で必死に経営改善に努めていたことを考えれば、国も同じことをする努力を見せるべきだと思います。特殊法人に流れている、約200兆円(貸付金と出資金)の大部分を民営化、もしくは統廃合していけば、国の負債解消に当てられますし、民間経済の活性化にも寄与します。確かに国家資産の売却は資産サイドのスイム化になってしまいますが、国債償還に回せば負債サイドのスリム化にもなる。とパネラーの識者も指摘していました。
しかし、手元資金は温存し、国債発行という借金だけ強調して、その穴埋めに増税だけしか道は無い。としようとしていることが、国家を重んじ構成する立場の方々の「志」に重きがあまり感じられません。

財務省OBの方もいわれていましたが、消費税増税分の3%は毎年8兆円くらいだろうとのこと。政府も恒久的措置の消費税は必ずマイナス効果が働くことは予測しているようで、低所得者層にはお金の給付(一時的)をするそうですが、恒久的事業に対し一時的給付では経済力学から考えてもマイナス効果がゼロになればいいくらいで、プラスには働きません。恒久措置と一時措置の違いだけはきちんと注視していく部分でもあります。

また軽減税率に選ばれたい業界団体などは必死に今後、圧力をかけていくと想定できますが、消費税をあげなければならない根本的検証をしてからでないと、結局はヒモ付きのような状態が出来上がると思います。

財務省主導案で考えても、年8兆円の増税分を24兆円確保であれば3年でできます。確かにこれは大きな規模です。しかし、国際整理基金というものが今年国会で補正で組まれています。聞けば30兆円分位は隠れ資産などから切り崩せるという話でした。
であれば、この基金を遣い4~5年かけて景気対策に切り込みながら、今回の消費税増税対策を深めていったほうが、いいと思います。

大学教授の案でもありましたが、この部分の予算を基礎年金分の保険料に企てるできだ。とのご意見。納得できます。
現在低所得者に1万円給付とありましたが、基礎年金運営費に補填できれば、基礎年金部分の保険料を二年間半額で済む試算もあります。こちらの方が本当に困っている人からすればありがたいことでもありますし、国も均等にできる実のある話だとも思います。

また会計士の方は、国税庁と年金機構の把握しているデータとの差がありすぎる点も指摘していました。実に80万件以上に法人データに差があるとのこと。
徴収漏れの社会保険料と税金の対策も同時に行うことをすれば、15兆円はでてくるのではと独自見解もお聞きし、視野の拡大になりました。

確かに、欧米では「インボイス制」を導入していますが、日本ではされていないため、消費税の3兆円程度の徴収漏れがあると試算されており、所得税なども国民総背番号制ができていないため5兆円規模の税収増が望める試算もあり、先ほどの社会保険料の徴収漏れも入れれば、今回の3%分の増税分以上の恒久的財源にはなります。

こういった事の一元化ができるよう歳入庁の創設の話は、いつも出ては消え、出ては消えの繰り返しです。その背景にはやはり、財務省のカベがあるようです。
歳入庁は税収を増やす大事な部門だとは理解を示しながらも先に進まないのは、なぜなのか。国税庁をコントロールした財務省の思惑や国税権力を手放したくない権力感もあることは承知できますが、国民のためになるしっかりした社会保障制度を作るのであれば、消費増税より「歳入庁」にも相応の議論を深めてもらいたいと思います。

国家の英知の集合体なのですから、個でなく、国家を考えてもらいたい。と最後は教育、育成感にもにた願いと同時に、我々国民も自らの生活、そして、国家のあり方に意識を高く持ち、国家の意義を大切に考えていく機会になってもらいたいと思いました。

色々な視点、観点はあります。そういった意味も込めて、パネルディスカッションでの意見とその後感じたことを綴らせていただきました。

                            若狭 清史