4月も終わりですね。新年度は皆さんどんなスタートでしたか。
私は、採択事業立案、経営コンサル等あっという間に終わってしまいました・・・。一日が長く感じられるよう余裕をもって進みたいですね。

「3年」

先日、女性の社会進出のさらなる拡充政策について、パネルディスカッションに参加させていただきました。その時に感じたことを綴りたいと思います。

昨今の政府政策は三本の矢で一部ではその「気」で評価されてきていることは周知のことです。同時に、最近、育児休業を現行法の最長1年6か月から最大で3年まで延長する案を成長戦略の一環として整えていることがわかってきました。

また20万人分の待機児童のために保育所の整備等も女性の社会進出を促し、経済成長にも寄与する。と謳っています。
私も過去に色々と調査したことがありますが、保守の概念と今回の政策とがちょっと違うという気もしています。

経済学を考えていけば、保育所を助成金や補助金で整備し、低コストで児童受け入れをすれば、自ずと需要が伸びていきます。ですので、待機児童は増え続けると思います。経済成長の一環で行う保守の論理とは少し違うのかなと思ってしまいます。

地域の協働なくして子供は育たず、道徳心が育まれなければ将来の国益に反する人格形成がされてもいけません。経済成長の一環に今回の施策は功を奏すのか疑問です。
女性は喜ぶでしょうし、一部業界も潤うことは理解します。しかし、女性の社会進出を促すことが経済成長につながり、その為には待機児童をなくすために保育所の整備から、育児休暇の3年まで延長をする。そして、経済が回りだす。難しい論理です。

私は、本当に女性の為になるのかを考えたときには、今回の施策には少し疑問があります。
育児休業を3年にし、その分の保証は企業に重きを置くスタンスの今回ですが、企業視点からみれば、3年間の育児休暇の権利を行使することは企業にとって女性の雇用コストの上昇につながりますから、採用が減少する懸念があります。(まだその懸念払しょくのためのデータは算出されていません。)
女性の才能を活かすために、上記の不安が結果として該当したら、経済成長以前の問題になるとおもいますし、女性の雇用コストが上がり続ければ、女性の雇用媒体が多い企業は海外に進出し拠点を移す可能性も大きくあります。

賃上げ要請に回答してくれた問題と今回の問題は別だと感じます。

そもそもとして、女性が働きやすい環境を作るために、(1)保育所を増やす。(公金)(2)それに加えて育児休暇を3年延長可能(給与一部保証等企業負担増)。そうすることで、結果として経済成長し、成長戦略としても成功。は矛盾であるし、保守論理としてもやや違う気もしてしまいます。(見方によれば社会主義的発想ともみえます。)
同時に企業が受け入れにくい内容ではそもそもの成功につながりにくいです。

一部では、3年休暇があるようですが、一人目の子供を産んで3年休暇。その後、数年でまた、子供ができれば3年休暇。人口減で今は子供が少ないから少子化対策を。といっているのはいいですが、この状況で仕事は覚えられ、信用は得られるのか。ということも、考えなければなりません。

今回、私が述べたのはあくまでも、保守の論理と経済成長の論理として、上記の政策が成長戦略としていることへの話です。

育児休暇に関する考えとしましては、経済成長と別に考えるべきとの考えを私は持っています。世界を見れば ヨーロッパの主要国では、各国で制度化されています。

イギリスをみれば、母親が産前産後の期間も含めて52週間休業取得が可能ですし、5歳に達するまでの間に両親合わせて13週間の休業も可能です。また、ドイツやフランスでは、3歳に達するまでの間に最長3年間までが休業可能制度になっています。

因みに米国は、子どもが1歳に達するまでに12週間の休業の取得が可能であるが、介護か本人の病気の場合も全て含んだ休暇の一部になります。

育児休業中の所得保障についても、給付期限と給付金も各国でまばらです。
日本は雇用保険から従前賃金の40%給付ですが、スウェーデンは休業期間の480日間のうち、最初の390日間は従前賃金の80%給付、残りの90日間は定額給付ですし、ドイツ(最大2年)やフランス(最大一子は半年、二子以降は3年)では、所得制限などの要件を満たせば養育手当等の給付を受給できます。

育児休暇があるイギリスやアメリカでは給付はありません。

こういったことを考えていった中で、次世代を担う人材を育成していくためにも日本は育児政策をどのような施策を考えていくかを考えるべきであり、「女性」「経済成長」が「成長戦略」と結びつけるのは、あまり効果を考えると難しいのかもしれないと思います。

人気取りの施策は国益に反します。
大切な部分ですので、別に育児政策を考えた方がいいのかなと感じ、パネルディスカッションで発言した内容をブログとさせていただきます。

                          若狹 清史