3月に入りました。卒業シーズンですね。自分の時も思い出され懐かしく思います。仲良くなった児童養護施設にいた子は県外へ。自分の目標をぜひ達成してほしいと願っています。目標・・・常に持っていたいですね。

「農業の行方」

昨今、農業問題について議論する機会が多いので、思うことを綴りたいと思います。
先日、農業団体の方、役人、農家、議員、大学教授等で農業問題について話す機会をいただきました。議論は「過去と今を軸」と「これからを創造」で平行線を辿りましたが、私はこう感じています。

ここ数年議題になっていましたが、食糧自給率の指標の適切性です。カロリーベースの食糧自給率を主とする指標によって、日本の農業が抱える問題点や、農業における議論や現状認識ができていないと思っています。
国際的指標である生産額でみていけば、日本地域科学総合研究所データでいけば、日本は平成13年~23年でみても総合食料自給率は66%~70%の間を示しています。同時に、主食用穀物自給率と飼料用穀物自給率の側面から見ていくと、後者のデータは23%~26%と低水準ですので、全体の総合食糧自給率を下げている要因が見て伺えます。ですので、食糧自給率問題は飼料用穀物問題に対策の重きを置く考えをしてもいいのです。

同時に、地方部では深刻的問題でもある農家の後継者問題、高齢化、耕地面積の減少、農業就労人口の減少等があげられます。地元の長野市をみても農業の担い手不足は深刻だと理解しています。 これはよく人数の確保のための議論がされがちですが、それだけではなく、今後迎えるであろう更なる外国との競争力を勝ち抜く高い技術の継承や創造を誰にどのように伝え、向かい入れていくかという視点も大事です。

農業就業者は毎年十万人単位で減少しています。今では300万人をきっています。そのうち65歳以上が7割弱であり、その半数は70歳以上です。将来農業の責任世代(39歳以下)は実に35万以下と言われています。

この背景は何か。です。今回もすぐにTPP、EPA、FTAの話題になりがちですが、そもそもの本質はどこなのかということだと思います。

地方津々浦々車でウロウロしてきた私ですが、農地転用はどこも多く行ってきた経緯がみてとれます。工場であり道路であり住宅、商業地等等。それにより耕地面積の減少に至っているのも当然の結果でもあります。

この裏に、なぜそうなったのか。ということを考え対策を打っていくべきだと思います。
岩手の農業漁業をしている若手世代の方もきており、意見を聞きましたが、痛いほどよくわかりました。(私も農家に生まれ、一昔の子どものようにハードに一緒に携わってきましたので、現在の若手農家の方の意見の重さを感じました。)
彼らは「やはり、生産するために必死になり命をかけているが、ビジネスとしての魅力や評価が高まらない点が門戸を狭くしている一つでもある。専業農家として生きているけど、手間はかかるが収入は少なく、大手組織の薬品購入や地域の重鎮農家の言うことが絶対ということでは、何もできない。」ということでした。
私は上記をうまくあらゆる組織が理解しているからこそ、補助金や所得補償などを行い、上下関係を構築しているのだと思っています。しかし、こういった補助金があったからこそ、高品質はできているという現実も理解しています。ただ、ビジネス対応ができないがゆえに農業への魅力が後退し、農業人口減少につながっているという悪循環も理解してもらいたいと思っています。

農業大手組織の支援をもとに当選している議員さん方からすれば、その組織を守ろうとしていますが、私は、支援を頂いているからこそ、守りではなく攻めるために、向上するための提案をしていくべきだと思います。

今回の会議でも農業の株式会社問題がでましたが、議員さん方は消極的でした。理由は撤廃が自由である以上農業企業の乱雑化になりかねないとのことでした。しかし、どうでしょうか。深い議論をしてきていないという証明でもあるのではないでしょうか。
企業化とは何かです。大規模にするのも、個々に企業化するもそれぞれですが、それよりも、一次産業から六次産業までの統合化することの効果の実証をするべきです。ここに企業家の意義があると思います。

高品質だけれども儲からないのではやる人は限られてしまいます。
今後は海外へのブランド化も含めマーケティング力をも企業化により求められてくるはずです。魅力は作っている人が一番わかりますし、伝えやすいはずです。

一部の官僚や農業大手組織の言いなりでは、それこそ問題は深刻化するばかりですし、それを実証してきている今があります。

実際に、国会審議をみても、関係省庁官僚は、農業大手組織(一部)の意見と酷似しています。イコールの関係にすらみえます。
食糧自給を問題視はするのに、企業化には反対しますし、日本の自然災害の多さで農作物が品薄になっては困るという割に、門口は広げません。その裏に、農業大手組織の利益が垣間見ることができるのは明白です。

現在、海外からは700%以上の関税を掛け、さらに補助金を配りお米を作ってもらっている状態であり、価格統制もされ消費者に提供しています。今後の開かれた状態を考え、また今の現状のシステム継続となれば、農家になりたいという人が出てくるはずがありません。そうなれば、農業は衰退を辿ります。それではいけません。

海外は日本米を求めています。カリフォルニアでは寿司バーを中心に人気の様です。枠はあるし、創れるのです。

このままでは、高齢化の末に後継者もおらず、土地管理ができないため、行政、不動産に依頼し、宅地や商業地に変わってしまいます。
国はカロリーベースの食料自給率と嘯きながら、そのカロリーベースの自給率を恣意的にでも下げるかのような減反政策を推し進める自己矛盾を、冷静に見ていく必要もあると感じてしまいます。

お米農家だけではありませんが、価格維持の為に補助金をだし、その補助金を出してあげるからと、農家から大手組織への卸値が値切られている現状は、どう考えても理屈にありません。
関係省と農業大手組織とのイコールの関係のおかけで、これからを担う現場に魅力がないのであれば、もともこうもありません。

今回もすぐにTPP問題をだされていましたが、その問題とは切り離しても、農業の構造改革に着手しなければ、日本の農業は高齢化とともに、自然死状態になりかねません。
「農水ムラ」の改革ができる議論をしていかなくてはなりません。

また、TPPを見れば、農業の在り方を考える絶好の機会としなければならないと思っています。

そんなことを今回、考え話し交流が深められた時に、感じたことでした。

                         若狹 清史