またまた久しぶりのブログ更新。失礼しました。
誤解を招くと、その誤解を説くのに時間と労力がかかります。皆さんもそんなご経験ありますか?
何はともあれ一度の人生です。楽しく真剣に生きていければいいですね。

「労働生産力」

本日は、米国の大学院生(USC-博士課程[ University of Southern California])と日本経済について話した時に感じたことなどを綴りたいと思います。

日本国内ではよく「日本は借金大国、財政危機」という言葉を聞かれます。しかし、国外ではどうなのでしょうか。公共政策を学んでいる彼は「日本経済が悪いという定義の共有が国内ではっきりしていないのに、なぜ日本経済は悪いという印象が国内で蔓延しているのかわからない.」と指摘していました。

妥当な指摘ですね。
彼との議論の中で、彼の理論を分析していけば、原因が見えていきます。
日本経済の悪化といわれる原因は、労働人口減少が主要要因だと考える見方もできます。労働者一人当たりのGDPをみていけば、わかります。1980年代後半と現在ではほぼ代わり映えはしていません。しかし、同時に米国との比較をしていけば、2000年台は米国より成長率は上がっています。米国は下がっているという現状もありますが。

バブル崩壊後から10年の上、一人あたりのGDPは下降をたどり1999年前後は急降下もしてきましたが、2007年前後から上昇してきています。

見方を変えれば、力強く巻き返してきたといってもいいのです。しかし、彼のいう「日本経済の悪化という意識が蔓延している理由」をより考えれば、毎年0.7%~0.9%ずつ現役世代がリタイアしていく現状が、企業にとっては売り上げが労働者人口比率で上昇しても高経済の意をなさないと捉えているからではないでしょうか。

同時に、こういった問題点をどう対策を講じていくのかもあります。
現政府政策のアベノミクスがどこまで刺激を与えるのかは、誰にもわかりませんが、円安傾向や株価等を見れば、事業が進みだしたときに効果が見えてきます。

これと同時に現実的な労働市場改革が必要だという話で盛り上がりました。
そもそも彼らのデータや私の研究所の調査を分析しても、財政刺激をする場合はGDPギャップをどこまで埋められるかなのですが、そのギャップは今のところほとんどない状態と見て取れます。
アベノミクスと同時に労働市場の低労働生産性の改善を行えるかどうかで、今後の流れは大きく変わるだろうという見方もできます。実際米国より20~25%は低いという現実もあります。

金融政策、財政政策と同時にこういった労働市場改革への重点も置く。ということで、現場レベルで「日本経済は悪化しているという認識」が取れてきて、「粘り強く再成長をしつつある。」という認識がでてきて、「やる気」がでてくれば、更なる成長に加担してくるのではないかという話をしました。

同時に行政改革、立法改革を行うことも必要ですが、そんなこと議論できた、ひと時を綴らせていただきました。視野を大きく、見方をかえれば可能性はあります。そう感じました。また、自らの感覚を凝り固まらせないためにも、こういう機会は継続的に行っていきたいと思います。

                           若狹 清史