6月12日の衆議院経済産業委員会において、「電気事業法の一部を改正する法律案」についての質疑に立ちました。 地政学リスクの現実化と、DX・GX推進に伴う電力需要のV字回復が重なる歴史的な局面において提出された重要な法案です。私はこの改正案の方向性を支持する一人として、政策効果を最大化するための具体的な制度設計について政府に質しました。
1.小規模な「新電力」の競争環境を守るために
今回の改正では、小売電気事業者に対して将来的な供給力の確保義務(N-3で5割、N-1で7割)が課されます。
義務発動のスケジュール
新たな「中長期市場」の流動性が十分に確保されないまま義務だけが先行すると、小規模な新電力の退出を加速させ、競争を毀損するリスクがあります。これに対し政府は、2028年度の市場開設を前提に義務発動を2030年度からとし、事前の検証や小規模事業者への低い目標水準の設定を行う方針を示しました。
ガイドラインへの提案
私からは、市場の流動性指標に連動して義務水準を段階的に緩和する「連動フェーズイン条項」のような仕組みをガイドラインに設けるよう提案しました。
2.国民負担の軽減と「値差収益」の還元
電気料金へのメリット還元時期
エリア間の電力取引で生じる「値差収益」を国庫に収納して送電網整備に回す仕組みについて、本来消費者が今すぐ享受できたはずの電気料金の低減メリットが先送りになっている点を指摘しました。政府側は、大規模な送電網整備には10年を要する場合もあるとしつつ、中長期的な低価格電源の活用拡大によって需要家(エンドユーザー)にメリットが生じると説明しました。これを受け、私は国民への丁寧な説明と、国会での定期的な見通しの報告を求めました。
超過利潤税(ウィンドフォールタックス)の導入見送り
燃料価格の下落局面で電力会社が多額の黒字(2024年3月期合計で約1兆8,891億円)を出す一方、国民が電気代値上げや再エネ賦課金などの「四重苦」にある現状を指摘しました。欧州諸国のような超過利潤税の導入可能性を問いましたが、経済産業省側は「諸外国とは直接利益が生じている状況が異なる」として導入や検討を否定しました。しかし、今後も国民負担増にならないような仕組みの導入を研究していくことを要望いたしました。
再エネ賦課金の問題
2012年のFIT制度開始時に42円と高く設定された太陽光の買取価格が賦課金を押し上げている問題については、未稼働案件(約8万件・8GW)の認定失効措置などにより総額抑制に努めているとの答弁を得ました。
3.長野県でも深刻な「ソーラーパネル放置問題」
私の地元・長野県でも倒産事業者によるメガソーラーの放置事例が発生しており、地域住民や行政が対応に苦慮しています。
国の実態把握とのズレ
政府側は、FIT/FIP制度外の太陽光設備について「各種の公益保護に影響を及ぼす放置の実態は現時点で特段把握していない」として、一律の廃棄費用積み立て義務化は困難であると答弁しました。
制度の抜け穴への提言
現場のリアルな困難を全国の教訓にするよう強く求めました。制度を離脱した事業者や自家消費型パネルの廃棄リスクといった「抜け穴」を塞ぐため、適合性確認制度と連動させた廃棄費用の法定義務化まで踏み込んで検討するよう要望しました。
4.大規模投資への融資の透明性
対象となる電源
長期・大規模な投資に対する貸付け制度について、実質的に原発の建設・リプレースをターゲットにしているのではないかと問いただしました。赤澤経済産業大臣からは「特定の電源種のみを対象・除外するものではないが、一定規模以上の原子力発電や風力発電をはじめとした電源投資への貸付けを想定している」との明確な答弁がありました。
インサイダー情報の管理
電源の休廃止検討といった市場価値の高い情報が漏洩しないよう、電力・ガス取引監視等委員会による厳正な監視体制を確認しました。
まとめ
本法案を実効性あるものにするための政省令のタイムラインについて、政府側から「公布から9ヶ月〜1年以内」という非常に短期間での整備方針が示されました。 スピード感を持った対応に感謝しつつ、今後も法案の成果がより一層出るよう、実務家としての視点をもとに注視と支援を続けてまいります。

