先日、外で大きなゴキブリをみました。それは並々ならぬ大きさでした。比較的ゆっくり動くゴキブリでしたので追いかけてみました。彼(ゴキブリ)は永遠同じところを行ったり来たりしていました。最後は隙間に入っていき見えなくなりましたが、何か生物というモノに感慨深くなりました。

「下落」

先日都内で、経済政策の会議にださせていただきました。各専門家の方々や各主流政党からお墨付きの大学教授、民間代表の方も参加されていました。その中で私が意見させていただいたことや、感じたことです。

議論は、主に「今の日本のデフレ、地方のデフレ」に焦点が置かれました。各参加者が、「このままでは日本経済は破綻する。このデフレを打破するためにはまずは、大きな政府介入が必要とか、第一次産業へのテコ入れ」など様々な意見が出されました。

私は、まずもって議論の大前提として、まずデフレとは何かを明確にしておく必要があると思い、みなさんと深めましたが、これが意見が分かれることが多く、驚きました。

私は、物価の下落は必ずしも不況とは関係ないと思いますし、それ自体が悪いとも限りません。物価の下落はマネタリーとリアルの要因が主に考えられます。

そもそものデフレの定義は、「通貨供給の減少によって一般物価水準が下落する」というものです。要はマネタリーな問題です。物価の下落によって実質的な資産は増えますが、同時に実質債務も増えます。そして、実質的な賃金は増えますが、名目賃金が下方硬直的になると失業者が増えます。ですから、世界の常識では1~2%のやわらかなインフレ状態が望ましいということになっています。

しかし、上記に対して、相場価格より安い商品が市場にでて売られてきている現状は、リアルな問題になり、相対価格の変化になりますので、デフレとは違います。
ですが、会議の中ではこのマネタリーとリアルの部分が混同して、相対価格の変化がデフレをもたらすという意見を言われている陣営もおり、私はすこし疑問を生じました。実質所得を増やすために競争を行う事は、企業努力の最たるものだと思います。

議論の中でも、しきりに「今の貨幣的デフレ解消が社会構造を明るくする。」を唱える方々もいましたが、私や同意見者の方々は「もし日本の物価低下の原因が貨幣的なデフレだけとするなら、すべての価格が一様に低下していなければなりませんが、そういう現象は見られていません。」で一致しました。

その後調べましたが、この30年間に耐久消費財の価格が約半減した事実にたいして、医療・福祉関連サービスの価格は、1.5倍以上になっています。この耐久消費財のうち、IT機器の性能の価格は、ここ20年で1000分の1以下になり、中国やアジアから輸入される衣類や日用品の価格も10分1でした。このように技術革新や新興国の台頭によって物価が安定する傾向は現在では世界的にみられ、デフレと区別してdisinflationと呼ばれるそうです。

よくこのような議論では「日銀がいけない」と一蹴する議論になりがちですが、デフレは日本だけでなく、欧米でもみられます。そうなれば、世界各国の中央銀行の質の問題になりかねませんし、そのような議論ではデフレ脱却は二の次になります。

政治がこの経済をどう解釈しリードできるかで、デフレ脱却の法案が決まると思います。

今回の会議でもそうでしたが、専門家の方々が集まる会議は、政略的でありその裏に思惑が見え隠れし、本来の議題である「デフレ」の意義、定義を統一することなく進みだす会議では非常に危険だなと感じます。

ゼロベースな感覚で議論を深めることが経済における最重要課題だと思いました。また地方がやはり特異的格差を生みだすことで大きな経済還流に結び付けられるのではと感じた今回でした。
                            若狹清史