先日、福祉裁判を傍聴しました。昔なら家族が行ってきたことを今は業者が行い、問題が起きれば家族は訴訟を起こす。産業からすると当然ですが、人間味からするとさみしいなと思います。
「自由化」
近年の情報社会からみれば、今回の原発による電力、即ちエネルギーの使途のあらゆる可能性を見ることが可能なはずなのですが、「脱原発」「自然エネルギー」「原発維持」などという観点から様々な駆け引きは見られますが、「電力自由化」という概念は一向に表舞台にでてきません。
今回はそのことを綴りたいと思います。
一時総理が電力自由化を口にされたことはありましたが、今となっては自然エネルギー法案に切り替わっています。自民・民主の議員の多くからもマスコミからも電力自由化の声はほとんど聞こえてきません。
議論することもないのです。
与党は再生可能(自然)エネルギー法案を通そうとし、野党第一党は原発維持のスタンスと自然エネルギーとを計りに欠けて政局と捉え駆け引きをしています。これは、電力会社の地域独占体制の是正や電力自由化といった議論もせずに進んでいることを意味しています。
自民は民主の自然エネルギー法案は国民負担や産業に打撃を与えるし、特定の企業利権になるからまだまだ検討余地ありとしていますが、その為の対案は無し。民主はその法案を通すためなら大連立も視野にという考えばかりが先行しています。
結局、電力自由化の議論が与野党の議題にあがらせないようにしているのは、東電の影響力が依然絶大ということを意味しています。
電力自由化については、石燃料価格が高騰したり温暖化との兼ね合いがあったりしてるので不可能と言う専門家もいますが、私は感覚が違います。
私は、原発を減らしていきそれに変わる電力を確保できるのかどうか・・・また再生可能の自然エネルギー発電にイノベーションをおこし、如何にコストを抑え産業発展に結び付かせるかの問題提起をしなければならず、そのために電力自由化という議論できる枠も確保すべきだと思うのです。
現在は、原発事故を政局と捉え政治混乱を招いている国会やメディアの連日の煽りも影響してか、いくら技術的な安全性や、地下原発なら安全だと主張しても、原子力行政、あるいは東電への信頼が根底から揺らいでしまっているので、信頼回復は並大抵のものではないと想像できます。また、与野党ともに原発再稼働を強引に進めても、政権は安定しているようにはみえないので、尻込みしてしまうとも考えられます。
ですから、今は化石燃料で電力を補い、長期的には自然エネルギーの比率を高めていくことになるものと思いますが、要は問題は電力料金だと思います。
現在の電力会社の地域独占によるコスト基準では到底自民党のいっている国民負担が上がる形は否めません。
しかし、単純に考えれば価格を下げればいいのです。価格を下げ、イノベーションを起こすための競争を起こせばいいのです。今の独占体制を崩せば飛躍的に料金が下がっていくことは、昨今のIT通信の自由化が証明しています。
どの業界もそうですが独占は非効率です。官僚化した組織はつぎつぎに無駄な仕事を生み出すと証明しています。
そもそも、電力自由化や発送電の分離案は、2002年に経産省がまとめてあります。当時東電の圧力があったのか法案化はしませんでしたが、検討した経緯は大きいと思います。
自由化を実行する上で、日本は託送料が高すぎることもありますが、これは変えていけばいいことです。「インバランス料金」(契約電力の3%以内、また30分以内に、発電と消費電力を調整ができなければ発生する料金)もまたネックなのです。
託送料(送電線を利用する料金)は米国の2.9倍~3.1倍ほど高額であり、東電の利益は数千億と言われています。
ここで考えられるのが、発送電の分離を行い託送料金を一気に下げるか、政府が行政指導で託送料の値下げをさせるかをすれば、電力事業への参入門戸がひろがることは言うまでもありません。
電力ほど確実な需要が見込める事業であれば、参入業者はあらわれます。
今後、何が代替エネルギーとなるか見えにくい中で、イノベーションに対して中立的なものを見出す議論がまずは必要だと思います。
原発維持は世論もあって難しいと思いますし、今回を一つの機と捉え、新しいエネルギー社会にしていくべきだと思います。しかし、今の新エネルギー法案の問題は国民負担増だけでなく、中立的ではないと言う事です。固定額で全量買取りというのでは、コストを下げ、競争力を高めるインセンティブが働きません。
解散総選挙は今はするべきではないと思いますが、するにしても「脱原発、再生可能新エネルギー法案」を争点とするなれば、そこに「電力自由化、発送電分離」という枠も一緒にいれて争点としてもらいたいと願います。
自民党は東電や電力会社から、民主党は電力労連から、役人は電力会社に天下り。メディアにもスポンサー。この構図がある中で、電力会社の影響力は多大であり、議論が机上で行われないなら、国民側から声を起こしていくのみだと思います。
いずれにしても、野党「原発推進」与党「自然エネルギー」だけにとらわれず、その為の議論として、電力自由化や発送電分離への議論をおこしてもらいたいと思います。
そんな事を連日の同じ報道や自らの調査とを照らし合わせて感じました。
若狹 清史