先日、後輩に子どもが生まれました。中学校からの付き合いですので、17年になります。何か色々感慨深く嬉しく思います。これからが楽しみです。時代の流れを感じました。おめでとう。

「利用」

IMF(国際通貨基金)が今回の震災の経過を踏まえた経済審査を終えて、「2012年に消費税を7%に引き上げるべき」との提言を示しました。
2012年は景気回復が見込めるから増税を始める時期という意見だということです。

今回はこの意見の裏に見え隠れする官僚主体政治に対する意見を綴りたいと思います。

上記のIMFの見解は国際的機関からの提言だと見えるかもしれませんが、これは、財務省の意見であります。そもそもIMFという組織には「JAPAN-DESK」という日本の財政だけを専門的に調査分析する部門があります。この部門担当者は、財務省からの出向職員になります。

つまり、今回のIMFの見解は財務省による財務省のやりたい政策を外部の専門機関から発信させたといってもいいと思います。

ほとんどの方はこのIMFが増税の見解をだせば、国際機関が日本を調査して増税を推進したという見方になってしまいますが、実情は日本の政府機関である財務省官僚がIMFという国際機関を利用して、「波」を起こそうとしていると言う事です。

過去、日本は超緊縮財政を実行することで生まれる負の現象は学びました。であるからこそ、私は、今回はそうならない政策をまず発表してから、財務省は増税議論に入ればいいと思っていたのですが、今回もまた同じ流れになるということに危惧を覚えます。

IMFの発表、すなわち財務所の発表で政治は政策論議を余儀なくされると思いますから、第三次補正予算の編成と、財源の問題になってきます。

政府の外貨準備の売却政策についての議論はされず、唯端に再度超緊縮財政策を実行すれば、どうなるのか・・・官僚も考えるべきだと思うのです。

そもそも、震災復興に対する総合的な経済政策はまだ、与野党の政争ばかりで策定もされていません。

第一次補正予算4兆円の内訳しかり、2兆円の第二次補正予算しかり、財務当局の官僚の考えのみが粛々と実行されていると言う認識をもつのは私だけではないと思います。

政治家が自らの保身ばかりに走っている一方で、政治家化している官僚は、このすきをみて、復興のための経済政策をださないようにしています。要は財務省は国民の生活ではなく、官僚利権だけを考えていると言ってもいいと思います。

財務省を例にとれば、震災という時期に乗じて、IMFを利用して増税議論にもっていきます。しかし、この増税は震災対策ではありません。今回の増税は自分たちの官僚利権を守るためのものだといわれてもおかしくありません。

小泉内閣のように官僚と良くも悪くもいい関係を築けているならばまだしも、官僚に利用されている感が否めない今の日本では、増税は官僚利権の温床になると思います。
今回の原発利権もしかりです。原発関連の官僚の天下りは依然、100人を超えていると言う実情もあります。
 
同じように財務省の大のお得意先、即ち天下り先には、日本政策投資銀行、国際協力銀行、日本政策金融公庫がありますが、今なお、絶対的機関であり、議論すらされない部門です。

国際協力銀行は政府機関の整理統合で消滅したはずですが、財務省は虎視眈々と復活を考え、現在にいたります。
民主党政権になって財務省から日銀への天下りは遮断されましたが、こちらも復活にむけ準備をしています。東京証券取引所への天下りも結局は復活。

国民にはわかりにくい、かつ専門的な機関で、天下りを多数しめ、財務官僚が守りたい利権を補うための増税かのような体質を、政治家が見抜き戦わないといけません。

また、民間金融機関傘下の研究所やシンクタンクへの天下りを増加すれば増税論議を推進できます。さらに、旧政府公社であるJTやNTTへの天下りも一向に減りません。

こういった公的機関に膨大な政府予算が注ぎこまれている現状を、常識的範囲内に修正できれば、政府支出は大きく削減できることは誰でもわかることです。

私は増税に対しては、ゆくゆくしていかなくてはいけないという認識です。社会保障費が増大し、国際化している社会構築費、自立国家にむけての対策費、などあげればきりがありません。世界的に見れば税が低すぎる日本ですが、増税する裏で、上記のような官僚利権を守るための増税であるならば、絶対に賛成できません。

官僚も日本国を憂う気持ちを何故見失うのか・・・。正すのは政治家です。その政治家を選出しているのは我々国民です。我々国民は誰かのせいにしたがりますが、こうなっているのは、我々国民のせいでもあります。

官僚主体政治による政治からの脱却、そして官僚と本当の意味での連携を今一度、我々国民が考えなくてはいけません。
内政ばかりの日本ですが、外交を考えたときの政治をもっと強く取っていかなくてはならないと私は思います。危機を感じる前に。

そんなことを今回のIMFの見解から感じました。

                         若狹 清史