本年もあと一日となりました。
自分なりに元気よく歩んできました。全国各地、海外から声をかけていただき、色々な方々と接する中で、「理」と「情」のバランスを持った決断が今必要とされているということを感じた一年でもあります。

来年もまたより一層の進化をめざし、元気よく進んでいきたいと思います。
本当に一年お世話になりました。今後ともよろしくお願いいたします。

「領域」

前回のブログに関して質問を頂きましたので、今回はそのことについて綴りたいと思います。

それは、「領土問題が世界各地で起こっているが解決したことなどあるのか?」また、「領土とはどこまでのさすのか?」

ということです。

まずは、領土問題が解決したことがあるのか?ということですが、結論から言いますとあります。

それは、国際司法裁判所が解決している問題もありますし、当事者同士の交渉でまとまったケースもあります。

国際司法裁判所は、紛争の当事国の双方が利用に同意する必要がまずあります。しかし、裁判所の利用を強制する力は持っていません。したがって紛争の当事国の一方が裁判所利用を拒否すれば、国際司法裁判所を使っての解決はほぼ難しいと言えます。

竹島問題がいい例です。日本は国際司法裁判所にかけて平和的解決を提案していますが、韓国は拒絶しています。また、尖閣諸島問題は、中国が国際司法裁判所にかけてもいいという考えもあるようですが、日本は否定的です。これでは解決には当事者同士の交渉というケースが強くなってしまうのが現状です。

ではその当事者同士の交渉でまとまったケースとしまして、近年では2011年に北極圏のバレンツ海の分割に関してロシアとノルウェーとの争いが解決しました。今まではバレンツ海に対して双方が俳地的経済水域であると主張し合い、広範囲によって重なっていた問題です。(俳地的経済水域とは領海の外側に漁業と海底開発の両方の権利を沿岸国が独占する領域の設定を指します)

バレンツ海とは、周辺含め海底に石油と天然ガスが存在しており、資源の宝庫として両国が1970年から所有を巡って争っていました。しかし、今回当事者同士の交渉により海域の二等分ということで解決しました。(その裏には、開発企業達の投資が底をつくよりも、最新のテクノロジーの進歩により二等分してでも開発の可能性と投資分を早く取り返したいという考えがあったのが大きいと予測できます。)

他にも、ロシアと中国との国境画定も2004年に解決をしました。

こう見てくれば解決する領土問題は現実的にあるということがわかりますし、わが国にも希望が見えてきます。
過去の解決した問題の状況を分析していくと、問題を抱えている二つの政府の力が国内的に安定している場合に一気に進むということがわかります。
妥協しても国内での風当りや政治的批判を受けにくい状況であるときです。
これが最低条件として、問題解決をしたければ国内政治の安定が各国間の交渉の前進には不可欠だと思います。この辺を我々国民も理解していかなくてはいけません。

現状のように感情論だけでおこなわれているようでは、まだまだ先のようにも思えます。

次に、領土はどこまでを指すのか?です。

領土、正確には領域問題ですが、領土、領海、空域があります。通常は、陸地から一定の海域を領海、そして領海の外側の一定の海域を俳地的経済水域として主張し、その陸地、島の領有権問題とその周辺の問題がセットとして存在しています。

内容は各地で諸所ありますので、別の機会にしますが、要は領域は線引きです。

その中でも空域の取り決めとしては、空には支配が及ぶが、宇宙には及ばないとしています。しかし、空気は高度が高くなればなるほど希薄になるので、支配の及ぶ範囲とされる空と及ばない宇宙との境界線は依然明確にはなっていません。

ですので、目安は飛行機が飛べる空域には支配が及び、ロケットのような高弾道しか飛べない空域は支配外となっています。しかし、ロケットを付けた飛行機が飛べる範囲はどうなのかなどは、問題視されています。

また、宇宙の利用に関しては国際条約があります。
これを読めば、月や火星等他の天体に対しては領有権は主張できません。同時に宇宙を軍事利用してもいけません。
ですので、現状は地球の周りを核兵器をのせた人工衛星は飛ぶことはできません。しかし、地球監視できるレンズをつけたスパイ衛星を飛ばすことは禁止されていないともなっています。

この解釈の部分で各国間でも問題が出てきていることも事実ですね。

こう見てくると、既存の領域問題の紛争と同時に、まだ未開発の分野の領域問題は、テクノロジーの進歩によって国家の力の及ぶ範囲は広げています。ですので、今後は各国のテクノロジーの進歩によって支配領域の拡充による争いが今後、大きくなり新しい問題多発となるのではと思います。

民族主義の台頭と、テクノロジーの進歩によって今後の状況は大きく変わってくる問題だと思っていますし、主張と妥協と現実と歴史を未来に向けて提案していく時代だと思います。

我々はその辺も理解しながら、領域問題をみていくことが大事だと思います。島国だから関係ないという考えの時代ではありません。

そんなことを考え、また質問に対しての私の見解とさせていただきます。

若狹 清史